実写映画「タッチ」

タッチ

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まずはタッチ制作委員会にお礼を言わなくてはなりません。
ありがとう、わたしのような原体験にタッチを持つ人間が大人になって分別がつき犯罪を犯さない年齢になるまで映画化を待ってくれて!
原作を誇張でなく百回は読んでいる人間としては、見るに堪えない最悪の作品でした。あまりにひどすぎて途中で発狂しそうになりました。
達也は、和也は、南は、ママは、そんな台詞言わない…。
最低最悪にキャラの掴み方が泥臭くてもう涙ちょちょぎれそうでした。やめてくれ、あの作品を汚すのはやーめーてー!

と叫ぶ原作ファンの心の裏で、長澤まさみかわいー! とか、あと名前知らないけどボクシングのマネージャーかわいー!!! とか、双子萌えー! とか原田最高ー! とかオタクの心が踊り狂ってましたとさ…。
いや原田がかわいかった。演技ヘタだけど。下駄が全然さまになってなかったけど。いい原田でした。映画の原田もやっぱり達也に恋していた…。
最初の方の、達也が南をからかうあたりがすごくかわいくて、細かいところのコメディのりがおもしろかった。最初の三十分くらいは。
残りはどうも感傷的すぎて、その割に深みがなくて、どーにもこーにも。

原作ものの常として、わかりやすく泥臭い部分が誇張されるのは覚悟してたので、最初から原作のことは忘れようと思って見に行ったんですけども。し、しかし。それにしたって。

26巻ある原作を二時間の映画にまとめようっていうんだから、ウスくなるのも仕方ないんだろうけど、どっかに焦点絞って映像化すればよかったのになーとも思う。
原作知ってる人には全然物足りないし、原作知らない人にはいまいち感情移入しづらいのではなかろうか。孝太郎との和解も突然だったし。南と達也、達也と和也、達也と原田、達也と孝太郎、この関係のどっかにさ。
多分原作ファンにも文句を言わせないっつー気概みたいなもなあったんじゃないですかね。制作側に。それが見事にすべってる気がする。余計なこと考えなきゃよかったのに。
どうせ原作ぶっ壊すなら、再構成できるところまで徹底的に壊せばいいのに、どうにもハンパであった。
原作は「三人の蜜月、ちょっと崩れたけどバランス保った」「和也の死から達也が野球部に受け入れられるまで」「柏葉が現れてから甲子園まで」って三部に分けられると思うんですが、そのどっかを徹底的にやってほしかった。映画だと、和也が死んで一年、あっという間に明青が甲子園に出ちゃって、「へー、甲子園って簡単に出られるんですね」みたいな印象を受ける。しかもカッちゃんがタッちゃんを甲子園に連れてったみたいな雰囲気で(南も孝太郎も「和也…」とか言ってるし)、やっぱりタッちゃんが努力してたみたいな部分がまるっきりわからないのでそこもかなり不満です。というか謎すぎる。野球って何、みたいな。
そして突然の告白に「あれっ、これラブストーリーだったの?」って顎が落ちる。
南が、原作のイメージと違いすぎるというのはもう横に置いておいて、支離滅裂すぎて何やってんだかサッパリでした。達也が甲子園に行くための何の力にもなっていない、という…。
役者本人がかわいいっていう以外に何の魅力もない役どころで、ちょっと気の毒だった。

あれ、やっぱり文句ばっかになってる。
深く考えずにかわいいこが出てるから見にいこ、ああかわいかった、って感じに金払うなら充分な感じでした。日本映画らしい作品であった…。
主役の人たちのプロモーションビデオだと思えばいいんじゃないすかね。原作知らない、主人公たちと同じ世代の人たちは普通に楽しい感じの映画だと思います。
原作ファンがぶつぶつ文句言う方が見苦しいのはわかってるさ…。

何で今になってタッチ? と思ったんですけど、上でも書いたのと同じような意味で、原作が完結してからここまでの時間が経たないと不可能だったからなんだなー。と感じました。
月曜ドラマランドのことは忘れろ。

口直しに原作読んできます。

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Posted by eleki