買わないってまあ無理だろうけど

ハクバノ王子サマ 9 (ビッグコミックス)

ハクバノ王子サマ 9 (ビッグコミックス)

以下ネタバレ伏せ
 
 



 
 
個人的な趣味で、「婚約者がいるのに好きな人ができてしまった」より、「好きな人がいるのに別の人の求婚を受け入れた挙句やっぱ無理と逃げる」人の方がはるかに許容しがたいので、タカコサマがそのパターンにはまってしまったっぽいことに不安です。
タカコサマは江川が生理的に駄目っぽい感じだから、江川をちゃんと好きになって江川と結婚するっていうオチは無理だろうし。
 
「婚約者がいる」ってことはそんなに障害になるのかな、っていうのが、いつもはあんま気にならなかったのに、今回やたら気になってしまった。多分タカコサマにとっての小津への恋というものについては、単なるイベントというか悩むことを実は楽しむ平凡な日々のアクセントとして把握してたのが、(江川との)結婚っていうリアルが介在することによって、小津との関係まで連動的にリアルになってしまったせいだなと思う。わたしの受け止め方がという意味で。

小津が告白に二の足を踏むのは、カオリへの思いとか、周囲への体裁とかのせいで、要するに『変化や反応が面倒くさいから』だとよくわかるんですが、タカコサマの側が、それを気にして何も言えなくなるというのがもどかしい。『何で駄目か』というより『駄目だから駄目』という理由で身動き取れなくなってるように見える。
小津の性格に不安になって、他を捨ててまで行動する気にならないって理由ならすごい納得するんだけど(笑)。でもタカコサマが動かない理由は、小津がどうこうじゃなくて、自分の内側にあるんだろな。誰が相手でも、自分からは働きかけられない人で、だから孤独で、でもそういう自分のことを他の何よりも最優先で受け入れている、みたいな。
諦めきれないなら行動に出る、諦められるなら他の人と根性据えてしあわせになる、ってしてほしいな、と今の段階では思う。
 
でも朔さんのことだし、今回あんなに長々と女友達の持論を繰り広げたり、そもそも最初に「誰にも選ばれなかったからひとりだ」という描写があったのは、タカコサマがそうではない道を選ぶ伏線だと思うので、あんま心配してないんですが実は。
このへんのもやもやを楽しめるのが、このまんがの醍醐味というか、単なる朔さんの思う壺だと思う…。