十二国記新刊「白銀の墟 玄の月」読了

(一)(二)と同様発売日の朝に書店に駆け込んで購入し申した。

ATTENTION※以下ネタバレがありますのでご注意ください※

 

注意書きもしたけど、開いてすぐ目に入るのもあれだろうから、大したことは書いてませんけどちょっと空けますね。
エモバレも嫌な人いるだろうし。
読みたてなのでだいぶん取り散らかしています。

こっから感想↓

三巻ね、三巻で…魔性の子からの読者はみんな叫んだと思うんですよ、ひ、広瀬!!
広瀬おまえ、よかったなあ…!!
広瀬先生のような凡庸で持たざる人(と自覚してしまった人)であろうとも、一国を救う決意を麒麟にさせるよすがになったんですよ。
よかったね…広瀬の存在には世界にとって意義があった…よかった、よかった…。
存在意義がどうこうというより、高里が「先生」って呟いた瞬間に悲鳴というか呻き声が漏れました。
一回本を閉じてしまった。

泰麒が出てくる話なので、どうしようもなく広瀬のことに思いを馳せてしまってはいたんですが、まさか、まさかその存在がここにきて明らかな形で提示されると身構えてなかったので、大変、とても、大変でした。


新装版の高里君はえっちだな…。最初のイラストの高里君はエロス。

家で広瀬が広瀬が騒いでいたら同居人に「だからあんな呟きしてたのか」と言われたけど、これつぶやいた時は、実は全然そのシーンに至ってなかったんだよ。

でも考えてみたら当たり前というか、魔性の子の時点でここまでの構想があったなら、泰麒の決意に蓬莱での悲劇が関わってくるのはあまりに当然だったので、むしろ何で出てこないと思ったのか今では不思議なんですが。
なんですが。

十八年という歳月のせいかなとも思うんですが(身も蓋もない)。

鮮やかに魔性の子に繋がったところで、とてもたまらない気持ちになりました。

そして単純に自分が気持ち悪い。

中島さんが塾に通ったりパジャマに着替えたりしていた頃のことに思いを致しても興奮するんです。
六太が現代の蓬莱で何かやってるっていうのとはまた違う感慨…。

琅燦が泰麒を化け物化け物言うのがおもしろかった。
十八年前だったら、「キレる十七歳」だったなあとか、平成を引き摺る感想を抱いたりもした。
王宮に戻ろうと思った時には角が戻っていたというか、角が戻ったから王宮に戻ろうと思ったのか?
李斎が文州にいるって知ってたのは何でだっけ?

蓬莱での経験を経て腹が据わりすぎて、麒麟としては特異な存在になったけど、そこからどう今後の物語に繋がっていくのか考えるとワクワクします。

そう、今後の物語ですよね。
全然終わっていなかった。わかっていたけれど。

阿選の簒奪の理由がまったく腑に落ちなくて、「嫉妬だ」と琅燦は言うし、阿選自身も「若干ニュアンス違うけどまあ嫉妬よな」みたいに納得してたようだけど、「そんな理由で国を奪って民を殺したのか」と、世界観の壮大さに比べて小さすぎて据わりが悪い。
舒栄が偽王になった理由も私的すぎてくだらないといえばくだらないけど、納得のいくところがあったのは、舒栄が(語弊はあるだろうけど)非常に女性らしい女性だったからだと思うんですよ。
阿選に関しては、器に対して動機が釣り合わなくて違和感しかない。
で、泰麒は「嫉妬」に対して「論外です」って一刀両断しているのは、泰麒が純粋だからってわけではない気がする。

十二国で好きなところって、誰もが自分なりの行動原理をしっかり持っていて、それが変わる時も変わるなりの理由がある、「こうだから、こう」と説明するだけじゃなくて、バックボーンというか過去からの流れがあって現在に繋がる形でこう動き、こう言う、というのが鮮やかなところなんですよ。
阿選だけそれがしっくり来ないので、来ないなりの理由があるんじゃないか、あってほしい。

ので、ここから先は世界の造りの方に話が動いていくのかなあと勝手に思っている。
天が決めて麒麟が選ぶ、というシステム自体に斬り込んでいって、慈愛の生き物であるはずの麒麟が自らの手で人を殺した、「化け物」になってしまったということ、というか泰麒・黒麒・高里要という存在が世界に及ぼす影響について語られたり、

しなかったらどうしよう語られるといいなあ。

語られない感じなら、今回、驍宗と泰麒が死んだ気がするんだ…。
途中まで割とその覚悟も持っていた。
でも、麒麟としては歪な形になりながらも生き延びたのは、それなりの意味があるんだろうなと。
思うのです。

でも世界の造りのところまでは書かない気もすごくする。
全部は書かないと主上がどこかでいっていたような。うろ覚えですが。
というか全部は書けるわけがないし、書くというのなら主上にも我々読者にも仙籍が必要である。
待てというならいくらでも待とうと思っていたんですが、今回十八年ごときで続きが読めてしまったので、また苦しい年月を思うと泣けてくる。
戴国の民の苦しみに比べたら微々たるものですよというか比べるのもおこがましいですよ。
戴の話は戴の寒さ、厳しさが染み渡るような文章で、読んでて寒くて寒くて、すごいなあと思いました。

全体的に小学生のような感想文ですみません。

読んだ直後でワーッと書き殴ってしまった。書き足りないけど。
読み返したら全然違う感想になるかもしれん。
読み違えているところも読み落としているところもたくさんあるであろう。一読でどうこうなるもんでもない。
次巻が出るまでまた繰り返し読みます。とりあえず短篇集が出るって断言してくれる慈悲に感謝します。

今回は、琅燦と耶利、去思がすごく好きだったなあ、あと帰泉…帰泉のこともあるから、阿選のことがこんなにも気になっているんだと思う。
案作も大好きでした、なんで好きなのかはわからん。わからんけど好き。

そういえばLINEまんがで今日更新だった「空腹の夕食(女子高生が主人公の韓国漫画、イジメというかスクールカーストっぽいものが出てくる)」の展開と、張運失脚の展開がそっくりでゲラゲラ笑ってしまった。張運のやってることが女子高生っぽくて可愛かった。張運も好きです。元気でやれよ。生きてるのか?

泰麒の角が治ったので蓬莱に渡れるんだろうけど広瀬に会いに行ったりはしないだろうなあ。
陰からそっと様子を見たりはしそうな…しなさそうな…してほしいような…してほしくなさそうな…。

最後まで散漫な感想でした。