給食の思い出

日常あれこれ

Twitterで「食べて応援!学校給食キャンペーン」というのをみかけたので、サンマとサバの冷食を注文してみた。

今はサーバダウンしてるかも。

さほど積極的に「食べて応援しなきゃ!」みたいな気分でもなく、「なんかおいしそうだから買ってみた」という感じです。
あと「調理が楽そうだから」。

注文してから、ふと、自分が小中学校時代給食が大嫌いで苦痛でしかなかったことを思い出し、大人になってみずから給食のおかずを注文していることに妙な気分を味わう。

私は今もだけど割とめんどくさい偏食で(めんどくさくない偏食などというものがあるのかは知らんが)、給食に出てくるおかずの大半が食べられなかった。

まず煮魚が駄目。エビは好きなのにエビフライは無理。というかフライ全般無理。頻繁に献立に現れる春巻きも嫌。タマネギとほうれん草とブロッコリーと里芋が嫌いすぎて病む。あんかけは口に入れられない。好きな食材でも、あんかけになっていると見るのも嫌になる。練り物類は匂いだけで吐きそう。トマトが嫌いなのでトマトケチャップが混ざっていると手を出せない。マヨネーズにも憎しみしかない。サラダに最初からドレッシングが掛かっていた場合は、大好きな人参が入っていたとしても食べられない。みんな大好きハンバーグは「練り物」括りだし「ケチャップ」がかかっていたりするので敵にしか見えない。ロールキャベツも「練り物」だし「温かいキャベツ」に親を殺されたので匂いだけで卒倒しそう。

こんな有様。
特に給食でタマネギが嫌いだと、ほとんどのおかずが食べられない。毎日必ず一品はタマネギ入りだった。
しかも白いごはんが嫌いだったのに、ごはんは銀のお弁当箱に詰まった状態で配られるので、量を減らしてもらうこともできない。

子供の頃の私は、ちょっとでも味や形や色や食感が苦手だと思った瞬間、それを口に入れるのが苦痛で苦痛で、本気で具合が悪くなってしまった。
給食があるから学校行きたくないと、毎日結構真面目に悩んでいた。
ごはんは残さないようにしつけられていたので、嫌いだけど、どうしても食べられないし口に入れて噛んで飲み込むくらいなら死んだ方がましというくらい思い詰めるけど、ごはんを残す時は罪悪感がものすごかった。

「給食を完食しなければ休み時間はなし」という方針の担任教師にあたった時はとりわけ地獄だったが、食欲旺盛な男子がこっそり食べてくれたので命拾いした。
もったいないオバケに呪われても文句は言えないが、口に嫌いなおかずを入れたまま給食の時間をやり過ごし、昼休みにこっそり処理したことも結構ある。
三時間目の終わり頃から、教室にも給食の匂いが流れ込んできて、そこからもう「帰りたい…」という気分でいっぱいになる。

言い訳をさせてもらえれば、たぶん、一番偏食がひどかった時の小学校の給食は、あまりにまずかった。
私は小学校を二回変わっているけど、最初の学校では給食室で給食のおばさんが調理していて、それがもう悲惨としか言いようのない味だった。
たまに校内放送で「苦いけど腐ってはいないので全部食べましょう」というような意味合いのアナウンスがあったくらいなので、私ばかりがまずいと思っていたのではないはず。
具体的に覚えているのは「しそのスープの味がエグすぎて、見た目も毒スープでしかなく、児童たちが『腐っている』『殺される』と騒ぎ出した」「デザートのキウイが苦すぎて以下略」という日。
しそスープは「まずいけど栄養があるので食べなさい」キウイは「空気に触れて酸化して苦くなっただけで腐ってはいないので食べなさい」という放送内容だったと思う。
ただし、しそスープは先生も飲めなかったようで、「残してよい」と許された。

キウイはキウイ単品ではなく、りんごやバナナを刻んだものとともに、ヨーグルトっぽい白い液体で和えられていた。ヨーグルトではあるんだろうけど、やけにべちゃべちゃして、薄くて、酸味がきつかった。
さらに生涯の天敵・レーズンや、赤くてシワシワした変な実も混ざっていて、あれが最高にまずかった。今思うと、赤いのはクコの実かな。
この謎の白い液体をぶっかけられたフルーツが、しょっちゅう献立に出現して、本当に辛かった。

気になってネットで検索したら、「フルーツヨーグルト」と呼ばれるもののようで、「また食べたい」と昔を懐かしむ記事がちらほら出てきたけど、おいしい学校はおいしかったのだろうか…。

毎日献立表を見ては憂鬱になり、幸せだったのは、「豆ごはん」と「ソフトめん」と「カレー」の日だけ。
豆ごはんは嫌っている子も多かったけど、私はなぜか妙に好きだった。
とにかく白いごはんが嫌なので、味がついていれば何でもよかったのかも。
ソフトめんは、おそらく埼玉の誇る山田うどん様が作っていたやつだったんじゃないかな、当時は製造者を気にしてなかったけど、これがおいしくて。
カレーうどん以外の時は、妙なとろみのついたシイタケやらタケノコやら油揚げやらを刻んだ謎の汁につけなければいけなかったので、それは無視して、ソフトめんだけを食べていた。
味気ないけど、その味気なさが好きだった。
給食って、全体的に味が濃かったよなあ。

どんどん思い出してきたけど、幼稚園でもたまに給食が出た。給食というかお弁当で、空の状態のお弁当箱を先生に見せないと許されないので、残したおかずをフタに置いて、お弁当箱の底でつぶして、食べ終えたふりをしていたんだった。
なんて悪い子供だったんだろう。

もっと思い出した。最初の小学校以外でも、やっぱり給食はおいしいものではなかった気がする。
二度目以降の小学校と中学校は市内の給食センターから食事が運ばれてくるけど、「浦和の給食センターはおいしいらしいぞ」「いいなあ」みたいな会話を、クラスの子としょっちゅうしていた覚えがある。
となると、私にとってだけではなく、他の子にも、市内の給食はおいしくなかったのでは疑惑。
まあわけても私の偏食ぶりはひどかったとは思うけど。

クリスマスやひな祭りや何かの記念日に突然現れるケーキは子供に大人気だったけど、私はケーキすら苦手だったため、やはり豆ごはんとうどんとカレーの日以外で心の休まる日はなかった。

あ、牛乳だけは大好きだったので、牛乳があったから耐えられたのかもしれない。
たまにコーヒー牛乳やいちご牛乳の日が来ると、ちょっとガッカリしたな。普通の牛乳が好きすぎて。

こうつらつらと書いてみると、我ながら我儘すぎて腹が立つけれど、子供の頃は本当に給食の時間が辛かったんだよ。
給食がないから、大人になってよかったと心から思う。

なのに今になって給食をわざわざ買うのも妙だけど、ぱっと見「おいしそうだな」と思ったので、到着が楽しみ。
私が嫌いなのは「おいしくない給食」で、きっと「おいしい給食」は好きなのだ。
って書いててやっぱり自分でも腹立つな。

いっぱいごはんにケチをつけていっぱい残した記憶はすごく苦くて、未だに学校給食という単語を目にするとうっすら嫌な気持ちになるのは、罪悪感のせいなんだろうなあ。

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Posted by eleki