死神の影が見え、悲鳴が聞こえる季節になりました

日常あれこれ,エッセイ

昔から、年に一、二度死神の影が見える時期があります。
もちろん死神などというものが現実にいるわけないので、「いろいろな物の影があたかも死神の形に見える」というだけの話ですが。
最近またこれが見えるようになってきた。

黒いコートを着て、黒い山高帽を被ったセンターパートボブの死神です。

こんなん。

何かしら精神状態に異変がある時に起こる現象だとは思うんですが、思い返しても特に落ち込むことがあったり、逆にハッピーすぎる何かがあったり、忙しすぎたり、閑すぎたりという場合でもないので、一体どういう状況でそうなるのか、長年の謎です。

大抵は道を歩いている時に起きる。
ぼんやりしている時に、この影が自分の行く先にフッと現れて、「わあ、死神だ」とぎょっとする。
必ず横顔で、こちらを見ることはない。
すこし俯きがちである。
特に怖くはない。

実際は真っ黒なので細部までは見えないし、一瞬見えるだけで目を凝らすと普通にただの木や電信柱や看板なんですが。

ただの木や電信柱や看板がこれに見えるようになり始めると、「ああ、そんな時期だなあ」と思う。
たまに外にいる時だけではなく、家の中でもこの影が見える時があって、そういう場合は「あ、やばいな」と思う。
何がやばいんだかはわからん。私の脳か。それ以外にはないか。

大体これが見え始めるのと同時に、耳栓をした時悲鳴が聞こえるようにもなります。
子供の頃から、ヘッドホンやイヤホンや耳栓をしていると、ときどき甲高い女性の悲鳴が聞こえて、全身に鳥肌がぶわーっと立って、怖くて怖くて仕方がなくなる。

これもまた、特に精神的に不安定とかそういうわけでもなく、急に起きる謎現象です。
平気な時は平気なんだけど、続く時もあるので、すごく困る。
小説を書いている時はたいてい耳栓をしているので、「耳栓をする」→「仕事に集中するトリガー」になっているのに、今は耳栓をしても怖くて集中できなくなってしまった。

まあ放っておけばどちらも勝手に治るんですが。

前述の通り、特に大きな事件が起きた時、精神的に激しいアップダウンがあった時にこんな有様になるわけではないので、逆に(逆に?)、「取り立てて大きな事件はないが、何となく閉塞感がある時」に起こるのかなあ、とぼんやり思ったりする。
たとえば最近の世界の状況とか。
いやこれほど大きな出来事に対して「特に大きな事件が起きた時ではない」というのもあれなんですが。
世界的には大変だけど、個人的にはあんまり生活に変化がないんですよね、もともと引きこもり稼業なので。
最近困ったことといえば、ホットケーキミックスとドライイーストが手に入らないくらいです。
そんな自分が、困っただのストレスだの言うのはおこがましいけれど、ニュースを見たり人から話を聞いていると、どうしても日常のままの精神状態ではいられない。

かように、ちょっとしたストレスや不安などがうっすら埃のように積み重なると、死神が見えるようになるのかもしらん。

そしてこの死神のイメージが一体どこから来たのかも謎である。
というか本当に上のチンケな絵の通りの形なのに、何であれが「死神」だと判断したのかのも謎だな…今気づいたけど…。
でもまあ死神なんだよ。

みなさんはどんな死神が見えますか。
見えませんか。そうですか。

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