・・・・・・・・探検隊の大人組・作真先生と副隊長・・・・・・・・

七瀬「(メールを見つつ)俺たちに、『他のメンバーについて語ってほしいです。大人視点から見た子供達って感じで。オマケとして、互いについても。エセ爽やかに☆』ってことですが」
吉永「難しいな。俺は素で爽やかだからエセっていうのが」
七瀬「(放置)じゃあまず、下から行きますか。大高万里について」
吉永「極度のブラコン、勉強はできるが頭が悪い。たたし目下勉強中につき将来見捨てたもんじゃない。日本語に訳すと『可愛い』」
七瀬「作真先生的に、ものすごく気に入ってるレベルの表現ですよね。すごい好意的」
吉永「おまえは嫌いなんだろ?」
七瀬「俺が嫌いなのはあんたのそういうところだよ」
吉永「さもありなん」
七瀬「黙れ(笑顔で)。万里はやっぱり、可愛いと表現するにふさわしい子だと思います。世界が狭かったのは万里のせいじゃなくて、周りのおとなの責任だからね。15歳でいろいろなことに気づけたんなら、結構上等な方だと思うよ。つんけんしてたのが、自分たちにうち解けてくれるようになるのは感動的」
吉永「獣手なずけるのが得意なやつばっかだよな、ウチは」
七瀬「先生も含めて。次、志水健司」
吉永「探険隊内の活動においてもまっとうな人間性を保っているので、実際は一番強者じゃないかと思うこともなくはない」
七瀬「うん、実はと大物ではないかと。異常な状況にぶちあたって驚いても、その『素直に驚いて受け入れる』ってところが凄いなと思います。現実逃避の一切ない子。柔軟性があるっていうか、順応性が高いっていうか」
吉永「底が深いのか浅いのかわからない」
七瀬「深いってことにしておきましょうよ。次、碧川卓美」
吉永「あの見てくれでなければもう少し生きやすかったのではと」
七瀬「もうちょっと図太くなれればいいのにな、とは思いますね。顧問教師を見習って」
吉永「こんなに繊細な人間を掴まえて何を言う」
七瀬「図太さを体現してくれてありがとうございます。卓美も自分の居場所を見失ってる感じがする。でも『自分の居場所なんてない』と不貞腐れるんじゃなくて、『居場所を作ろう』と頑張ってるのが偉いなあと。健司に頑張って欲しいところだね、自分をちゃんと見ててくれる人、しかも自分を一番に、っていうのはすごく重大なことだから。本人にとって」
吉永「死ぬまでそういう相手に巡り会えない奴もいるもんだ」
七瀬「そうそう、だからね。次、磯崎行広」
吉永「苦労人に見せかけた自由人」
七瀬「ああ……。周りに迷惑かけちゃ、って強迫観念みたいに思ってたのは、実家の稼業のことが問題かな。本人はあまり語りたがらないけど、小さい頃は色眼鏡で見られていたとこもあったみたいだし」
吉永「その辺りはいずれ本編で語られるかも知れなくもない部分ですと言え」
七瀬「と天の声が聞こえたので次、月島正司」
吉永「お調子者の自分を実は冷静に遠くから見てる、馬鹿のふりが得意な子供。に、見えなくもない」
七瀬「先生見てると、大人って嫌だなあと思います」
吉永「だから寡黙に子供たちを見守ろうとしてるんだよ」
七瀬「(無視)結構なアニメ好きらしくて、時々言ってることがわからない。真治とは通じてるみたいだけど、弟と一緒に戦隊ものとかアニメ見てるだけで特別好きってわけじゃないみたいだよね。魂が共鳴するのは行広だと言っていた」
吉永「おまえもゲームで魂が通じてるだろ」
七瀬「自分だって軍事で行広と話が通じてるじゃないですか」
吉永「俺とおまえと行広と正司で戦略ゲームの話題に興じている時、万里がこっちに向ける汚いものを見る目がたまらない。規典は万里がいる時は絶対会話に加わらないから卑怯だな」
七瀬「ゲームについて語ってるだけなら万里はそんな目をしない……俺は万里の蔑む目よりも、卓美の『……すごいですね……』と心から感心したような呟きに心を痛めている」
吉永「男のロマンがわかってないな」
七瀬「否定も肯定もしたくないなあ……次、杉舘真治について」
吉永「長男」
七瀬「まあ、長男ですよね。まっとうなガキ大将」
吉永「保父さんとか向いてるぞ、あれは」
七瀬「看護士とか。子供とお年寄りに受けがよさそう」
吉永「動物の調教師でもいいか」
七瀬「見てると『まあ頑張れ』という言葉が日常的に浮かんできます。次、先に大高規典」
吉永「将来の目標アンケートで『革命闘士』などと書いて職員の胃を痛めるのはやめろと」
七瀬「アメリカの大統領になるための計画書を数学のノートに書いていた。あと50年後に日本でクーデターを起こすためのシナリオ」
吉永「自分が軍事政権を作るのか」
七瀬「今の日本だとクーデターを起こす意味がないので、まず自分が政治活動に関わってまっとうな国となる下地を作ってから、国民の意識を麻痺させつつ徐々に独裁政権に移行したのち、それをひっくり返してクーデターを起こして国名を変えるまでのシナリオでした」
吉永「言葉もないな」
七瀬「結局、自分が独裁政権の確立を成功させた場合クーデターでそれがひっくり返すことはできないし、自分がクーデターを計画した場合は成功しないわけがないし、眠そうな字で『矛盾』と書かれて終わっていました」
吉永「誰かあいつに自分はひとりしかいないということを教えてやれ」
七瀬「革命闘士が駄目だと言われたから書き直したって言ってましたけど、何て?」
吉永「23歳でマイホームパパになる」
七瀬「どっちも本気なんだろうなあ」
吉永「再提出のアンケートと一緒に、住宅ローンと学資保険と夫婦終身保険の詳細な計画図が添えられてた」
七瀬「何かもうどうでもいいや。次、俺、七瀬豊。自分からは何とも……」
吉永「面倒見のいいお母さんなんじゃないんですか」
七瀬「先生に批評されるのもいやだなあ」
吉永「そういう主旨なんだから仕方ないだろ」
七瀬「別に都合のいい家政婦でいいんですけど」
吉永「七瀬君は可愛いですよね」
七瀬「笑顔でありがとうって言えるくらい大人になれてよかったなって思います」
吉永「それを口に出す辺り……って自覚もあるんだよな、おまえって」
七瀬「たまに先生のこと殴り殺したくなるから、もしかしたら好きなのかもしれないって思うことがある」
吉永「それを見て『やっぱり七瀬君は可愛いですよね』以外の何の台詞が出てくるのかと問いたくなる」
七瀬「全然爽やかじゃない、と吉永作真に関するまとめ」
吉永「何をう」
七瀬「あ、ちょっと可愛い……」
吉永「主旨って何だっけ」
七瀬「何でしたっけ」
吉永「探険隊は永遠に不滅です」
七瀬「それでいいや、もう」



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