こころなんてしりもしないで・第5話
土曜日、日曜日と、いつもより楽な気分で過ごすことができた。月曜日になればまた秋口の姿を見ることができると思ったら、少し倖せな気分になる。 金曜のトラブルのことを思い返せば、あっという間に暗い気分に…
土曜日、日曜日と、いつもより楽な気分で過ごすことができた。月曜日になればまた秋口の姿を見ることができると思ったら、少し倖せな気分になる。 金曜のトラブルのことを思い返せば、あっという間に暗い気分に…
「秋口、佐山との仕事、どうだ?」 自分の机で書類を書いていたら、青木がやってきてそう声を掛けてきた。「どうって、まあ、特に滞りもなくって感じですかね」 手を止め、青木を見上げて秋口は答えた。 青木は…
たしかに秋口と組んで仕事をすることにはなったが、前任の青木とかなりの部分まで作業を終えていたたため、佐山が秋口と頻繁に打ち合わせなどで顔を合わせる必要はなかった。商品の設計に入る前ならもちろん仕様…
総務部の雛川沙和子と言えば、同じ女子社員からすら憧れの眼差しで見られるマドンナだった。 今どきマドンナなどというふたつ名を誰もが平然と口にするくらい、彼女は本当に美人で上品で、大人の女の色香を漂わ…
恋心というものは、どうやら意識なんてしてもしなくても勝手に芽生えてしまうものらしい。 たとえそれが同性、これまで恋愛対象に入るなんて思ってもみなかった『男』だとしても。 たまたま相手が自分と同じ男だ…