「一太郎」というワープロソフトに関しては、Windowsパソコンで小説を書いている人にはかなり強めにお勧めできるものだと思っています。勿論個人の感想としてでしかありませんが。
文章は書こうと思えばメモ帳でも書けるし、word含めたその他のWindowsアプリやクラウドアプリでも書けるけど、こと「日本語で小説を書く」というジャンルにおいては一太郎を凌ぐ物は他にないです。
何がいいかといえば効率です。他のアプリでもできることが、一太郎を使うと時短になる。やりたいことがストレートにやれるので手数とストレスが減る。
大昔の話になるからぴんとこない人もいるかもしれないけど、クリスタどころかコミスタもなかった時代、Photoshopで漫画を描いている人が多かったんだけど、今はあんまりいないと思うんですよね。一太郎は文章書きにとってのクリスタです。
同人誌や電子書籍を作る時も、一太郎ひとつですべてが完結するので、時間短縮にとても役立つ。
私は「時間がかからない」のが一番のお金のかけどころだと思っているので、一太郎を使い続けています。
という前提で、今回は「一太郎」ではなく今年発売された「一太郎2025」の話です。書こう書こうと思っているうちに二ヵ月くらい経ってしまったけど発売日に買いました。

購入前、ざっと新機能や更新されたものを見て、正直なところ去年と大差ないので、機能向上を目的にバージョンアップする必要はあんまりないかなあと思いました。
私は機能がどうあれ一太郎になくなられては困るのでスパチャ投げる気分で毎年無条件で購入しています。
みたいな記事を書こうとしたら去年と9割言っていることが同じだったよ。


本当に去年の記事と同じような内容になっちゃいますが、一太郎2025の新機能を見てみました。
目次
一太郎2025の新機能


ATOKハイパーハイブリッドエンジン2とATOKわたしの辞書プラスについては、一太郎じゃなくてATOKの機能なので今回は割愛。
「岩波国語辞典」「JUST PDF」「40周年記念フォントパック」「花子」「JUST Office」は上位版のプラチナにしか入っていないので、今回はそれ以外で。
『誇張表現』をチェックして指摘
日付や曜日のミスもしっかりチェック
一太郎2025の新機能としては、「『誇張表現』をチェックして指摘」「日付や曜日のミスもしっかりチェック」辺りが字書きには嬉しいでしょうか。小説だとあえて誇張したり、現実の日付が関係ないことも多いので、活用できるかはその人次第か? 邪魔になっちゃう場合もありそう。
日付については現実に即したお話を書いている人や、ノンフィクションを書いてる人にはいいものだと思います。
あと小説以外の書類を作る人にはすごく嬉しいのかも。




新しい「公文用ルール」に対応した文書
新しい「公用文ルール」に対応も、小説には関係ないけど、そういうものに関わるお仕事をしてる人にはいいかも。


音声・動画から文字起こし
「音声・動画から文字起こし」は、仕事の会議から文字起こしをしたい人とか、動画を資料としている人には便利なのかな。私は動画で情報を集めるというのをやらないので使い勝手はわからん。
日本刀の勉強会で講師の先生の言葉は録音しているので(許可済み)、その文字起こしを今度やってみようかなと思います。


画像から文字起こし
「画像から文字起こし」に関しては、わたしは紙のノートに手書きでプロットやらメモやらを書くことがあるので、それを取り込むのに便利かも。前に一度何かのアプリで試してみたんですが、私の筆跡が自由すぎてうまく読み取ってもらえないことがあって、諦めていたんですが。
ちなみに「画像から文字起こし」で高評価を得ていたスマホアプリの「一太郎Pad」は一太郎2025に同機能を搭載するに当たってアプリはサポート終了するそうです。そ、そんな…古い本などの読書中に読めない漢字があった時に画像撮って一太郎Padで読み取り、っていうのをちょくちょくやっていたんですが。geminiがやってくれるからいいか。


一太郎2025の画像読み取り・Copilot・Gemini比較
そう、画像から文字起こしに関してはWindowsについてる「Copilot」やGoogleの「gemini」でもできるんだよな、と思って試しに比較してみました。
元の画像。その辺にあったノートを適当にiPhoneでスクショしたもの。比較のためにトリミングとか画像補正とか何もしてません。猫毛もそのまま…。


Copilot
Windows付属のペイントアプリで読み込み→文字認識したのをメモ帳に読み込んだもの。


私の字が汚いったって話にならん。
Google Gemini
webブラウザ版で試しました。


おまえすごいな…?
読み込んだ文字をただ出力するだけではなく、ある程度文脈を判断して、同じ行で違う話題がある場合にちゃんと分けてまとめてくれてるっぽい。改行してある文章をひとつのトピックとしてまとめ、トピックが変わった時に適宜改行もしてくれて見やすい。
☆マークを重要な文章だと認識して太字にしてくれている気がする。
タイトルと日付が切れているのはスクショの都合上です。
一太郎2025
一太郎のツールから画像を読み込み、一太郎に貼りつけたもの。


完全に見たままベタ打ち、文意は考慮せず書いたまま改行されていたり、別のトピックが同じ行に並んでいる。
ピンクのハイライトは誤字指摘です。一太郎は「楽浪海中倭人あり」を知らないらしい。
「れて」がハイライトされているのは、「分れて」の「分」が読み取れなかったからですね、私の字が汚いせいです。geminiは読み取ってくれたけど。
画像の文字認識→一太郎に読み込む際に、誤字脱字の修正や空白を削除するかどうか、「?」「!?」などのあとに空白を入れるか、など細かい指定ができるので、小説を書く人には一太郎がおすすめかもしれませんね。
AIにわかりやすくまとめてほしいときはGeminiがいいのかな。Geminigaかなり頭いいのでびっくりした、これは一太郎Padも死にますわ…。
ただGeminiはAIなので、アプリの設定によっては、自分の作ろうとしているお話のプロットを読み込むとそれを学習されてしまうので(学習させないこともできますが、オンラインのことなのでどうなるかわからない)、気になる人は一太郎の方が明確におすすめです。
元々ある・バージョンアップした一太郎の便利な機能
小説投稿サイトのふりがな対応
これが一番の推しどころかなと思います。


いろんな小説サイトを使ってる人は、いちいち各サイトの投稿画面でふりがなタグを振らなくても一太郎から保存する時にタグをつけられます。べんり!
私も二次創作で積極的にpixiv投稿している時代など大変お世話になりました…。
印刷操作でコンビニプリントにアップロード
プリンターで刷り出す折り本が作れる
両面の冊子印刷があるので、家のレーザープリンタで28ページくらいまでの折り本ならどんどん作れます。
このバージョンからコンビニプリント対応になったのもおもしろい。簡単にネップリができるようになるってことだと思います。今度試してみようかな。
2倍ダーシをあらゆるフォントで入力
行をまたいでも分離しない!三点リーダやダッシュの文字結合
ダーシ(――)に隙間が出来てイライラしたことがある人にお勧め。行を跨いでダーシと三点リーダー(……)が泣き別れになることもなくなります。これは機能追加されてかなり嬉しかったやつだなあ。
まとめて改行削除


web小説だと読みやすさ優先で改行を重ねることがあると思うんですが、書籍化の際にそれを消す作業をワンクリックで一太郎がやってくれます。
必要な改行を残すことも可能。
文書校正とか
約物(、。「」()?!…など)の取り扱い、頻出語のチェック、擬音語・擬態語の過指摘を抑制、字下げチェックなどいろいろ。
一番いいなと思うのは、校正を「小説」モードにすると、たとえばら抜き言葉があった時に地の文だとチェックして会話文はスルー、みたいな選択ができることです。一人称で書いてる場合など、そもそもら抜き言葉自体をチェックしないとか、細かく設定できます。
あとうっかり商品名、たとえばフラペチーノはスタバでしか使われてないとか、古いところでウォークマンはSONYの商標、っていうのをチェックしてくれるのも嬉しい。
その他量が多いので詳しくは公式サイトで確認してください。



で、一太郎2025は買いか?
私は今も2025を使って小説を書いていますが、2024年と全然使い勝手が変わらないです。うっかり2024を使っても気づかないという確信がある。
変わられると困るので(執筆環境が変わるとパフォーマンスが落ちるタイプなので)ありがたいといえばありがたい。
これまで使っていた設定・マクロなども普通に使えます。私はシナリオを作る時、一太郎にベタ打ちしたものをマクロでシナリオ形式にして提出しているので、それが使えなくなったら一太郎にする意味が半減する…。
そういった機能含め、すでに十年以上前から完成されているソフトなので、旧バージョンを持っている人と持ってない人でおすすめ度が相当変わってくる感じ。
小説を書いてる・書きたい人で、一太郎を使ったことがないって場合は、買って損はないと思います。
特に同人活動をしている人。
PCを持っていない人、Mac使いの人、webのみで活動している人で、通勤通学の隙間時間にスマホやタブレットで執筆してるっていう人は、残念ながらWindowsのみ対応のソフトなので買っても意味ないです。
私はPCで執筆するのに慣れちゃってるけど、スマホやタブレットで充分書ける、慣れたアプリがあるって人は、わざわざ環境変えてまで効率を求めることもないと思う。もうちょっと早く書きたいな、スマホアプリじゃ足りない何かしらの機能がほしいな、ってなったら一太郎ご一考ください。
上記+ATOK Passportプラチナに入ってる人は、ぜひ買ってほしいなあと思います。上の方にも書いてあるけど、ATOK Passport優待はJustSystemsの公式ショップでしか買えないのでご注意を。
2022・2023・2024くらいの一太郎を持ってる人は、多分バージョンアップしても本当に使い勝手に変化がないです。
2022からATOKの標準搭載がなくなって、嫌でもATOK Passportに入らなくちゃいけないので、そっちでお金取られるしね…。
お勧めできるのは、後述しますが、プラチナの特典に旨味を感じる人くらい。
2021以前のバージョンを持っている人は、すでにサポートが終了しているので(2022も終わってますが)、安全のために買い換えるのはありかなと思います。
でも多分今でも普通に使えると思うから、よほど不具合がないとか不満がない場合はそのまま使い続けていいと思います。OSの問題で使えないってこともないと思う。自己責任になっちゃうけど。
ATOKの精度に不満がある人は、ATOK Passportに入りつつ一太郎はそのまま使うパターンか?
一太郎の存続を望んでいる人はこんな記事読んでないと思いますが、買う以外の選択肢はないしもう買ってるはず。
ここまでは無印版の一太郎についてでした。
プラチナについても書こうと思ったけど、長くなったのでまた今度。