野球部にいじめはないんだと思うNew

ただの日記です。

昔からの読者さんはご存じかと思いますが、私は小学生から高校生までの間ずっと運動をやっていて、高校はスポーツ推薦で体育科に入って、割と人生をかけた感じで部活をやっていました。
私が在籍していた頃は私のいる部も他の部も全国大会出場は当たり前、入学した時に「部活を辞めるのは学校を辞めるのと同じことだからな」と先生に言われるような学校でした。

なので、件の野球部に「いじめはないんだろうな」って思うんですよ。
私も高校生の頃、野球部の同級生が「先輩にケツバットされた」から授業中まともに椅子に座れなくても、新体操部の友達が顧問に棍棒でぶん殴られて漫画みたいに目の周りに青あざを作ったり歯を折ったりしていても、それがいじめや暴力事件だと認識していなかったので。
ケツバットされたのは練習をサボったり先輩に対して舐めた態度を取ったから。じゃあ仕方ないね。
棍棒でぶん殴られたのは何度やっても同じ演技が完璧にできなかったから。まあ、できないのが悪いね。

ひとつ上の先輩から、体育科のスキー実習の時にクラスの女子一人が夜部屋を抜け出したのが教師に見つかって、同じ部屋の生徒全員で朝まで廊下に正座させられたよっていう体験談を、笑い話として聞きました。
「先生に殴られるたびにホテル中に『やめてー!』って悲鳴が響き渡るんだけど、とにかく眠くて、眠ると自分まで殴られるから眠らないのに精一杯だった(笑)」
その生徒が実習後学校を辞めてしまった、というのが笑い話の「オチ」でした。
先輩は笑っていたし私も笑って聞いて、部屋を抜け出した生徒がバカだな、何でそんなことするんだろうって素で思ってました。
先輩も、かつての同級生がそんな目にあって学校を辞めたことを笑い話としてしか思っていないし、自分たちも正座させられたことについてすら当然のことだと受け入れていました。

とにかく「連帯責任」が大きいっていうのも、事態を悪くする原因だったんだろうなと思います。
一例として、うちの学校は当時県内のスポーツテストで常に生徒の平均数値が一位だったんですが、それは「結果が出るまで何度もやる」からでした。そうしないと、学校が県内のランキング一位から落ちてしまいますからね。他の体育科がある学校に負けてしまいますからね。という理由を教師から聞かされて、素直に従っていました。
たとえば当時男子は懸垂50回がMAXだったんだけど、50回出来ない生徒がいた場合は、その時鉄棒にいるグループ全員1からやり直しなんですよね。
そうすると周りから「あいつのせいで俺たちが余計に懸垂する羽目になった」という目で見られるので、もうみんな死に物狂いで懸垂します。
女子も、1000メートル3分20秒以内で走らないと、全員何度でも1000メートルをやり直させられました。タイムが遅かった子に対して、自然と「そいつのことは責めていい」「私たちをひどい目に遭わせたんだからバカにしていい」って空気が生まれます。
ちなみに、当然ながら走る速度なんてやればやるほど疲れて落ちるので、何かもう地獄でした。疲労によるヘイトのすべてが、もう一度走ることになった原因となった生徒に向きます。
「もう一度走ることになった原因」は、本当は、その子じゃないんですけどね。どう考えても。

「連帯責任」ってその時に限らず、在学中何度も言われました。
「連帯責任」が身に染みついたまま上級生になった上級生は、下級生の劣ったところが目につきます。
自分たちが一年生だった頃に到らなかった部分なんて綺麗サッパリ忘れて、一年生が出来ないことについて「こんなこともできねぇのかよ」と叱り、先輩がしたように殴って「指導」して、自分たちのような立派な先輩になるように「励まして」あげます。連帯感爆上がりで考えます。
「俺たちはやったのに」「俺たちにはできるのに」「伝統なんだから守れよ」「俺たちも先輩と同じように下級生を指導しよう」。

だから、いじめはないんだよ。
いじめはあったか? って調べたって、「あります」と答えるわけがない。だっていじめじゃないんだから。
指導のうちです。言い逃れをしているわけではなく、本当に、必要だからやってる指導だと思っているんです。
陰湿に誰かを標的にしてずっと暴力を振るっているわけではありません。
みんなのために。クラスのために。チームのために。
「でも、生徒が一人転校するほどひどいことがあったのに」って、上記の通り、うちの学校も辞めていった人はいました。彼女に限らず、年に複数、特に一年生の時に辞めていく生徒はいたけど、「合わなかったんだね」「根性ないな」で終わりです。転校なんて珍しくなかった。
いじめで転校したわけじゃないです。ただ、「うちの部に」「うちの学校に」その子が合わなかっただけです。
心からそう思っています。
いじめはないんです。

いじめに決まってんだろと令和の私は思いますけど。
暴力行為はただの犯罪だろと思いますけど。

当時の私にとって、うちの学校に、いじめはありませんでした。

大人になった私は、過去の自分を「加害者だったんだろうな」と思っています。
私が他人に暴力を振るったことはありません。そもそも誰かを本気で殴ろうという発想自体を持ったことがないんですが、証明しようがありませんので、「女子部員が女子部員に暴力を振るうという習慣がなかったのでありえない」と書いておきます。信憑性が増したかな。「いじめじゃないんだから、女子が女子を殴るわけないじゃん(笑)」とも書いておきましょうか。
でも、上級生や部長であるという立場(小中高とずっと部長をやらされるタイプでした)を笠に着て他の生徒に理不尽を強いたことがなかったかは、自分ではわかりません。
やっていたつもりはありませんが、上で書いたような調子なので、自分の認識と外から見た事実が噛み合ってるか自信がありません。
私は中学生までは自分で言うのも何ですけど天真爛漫なスポーツ大好き少女でしたが、高校で体育会系が肌に合わず心身を病んで一時期学校に行けなくなった間に中二病を拗らせて「自分以外全員バカ」と見下すタイプの嫌なオタクに変容したので、「バカに関わりたくない」という理由から同級生とつるんで下級生に「指導」をすることはなかったという確信だけはありますが。
同級生が下級生に理不尽なことを強要するのを見かけても「バカのくせにイキるな」という苛立ちで止めるだけで、「これはいじめである・いじめはよくない」という意識は微塵もなく、ましてや根本的な構造を変えようなどと思いつきもしませんでした。
ニュースを見て、一瞬でも「カップラーメンとか食べるからじゃん」と考えてしまった私は、こうして自分の高校時代を振り返って「いじめはなかった」と書けてしまう私は、今をもって加害者側なんだろうなと思います。
体育会系の伝統や空気を変えられず、令和の今になってなおあんな事件を生み出す原因の一端になってしまっているんだろうなと。

結局のところ私は自分の学校に自分がいた時代しか知らないんですが、でも件の高校については、一回ぶっ壊れないと無理だろうなと思っています。
一人二人を挿げ替えるだけでは何も変わらないので、一旦廃部にして根本から構造を変える以外に道はないだろうな。
でも廃部になんてならないでしょうね。どの学校にもいじめはないので。知ったこっちゃありませんが学校運営、部の事情というのもあるんでしょうし。せめて今騒がれている部だけでも「それはいじめです」と生徒にも大人にも納得させられる絶対的な力が発動すれば別ですが。
逃げられる生徒は早々に逃げてほしいです。
私は選手としてピークの時に競技を捨ててから、嫌いだったのは練習じゃなくて学校と部活だったんだとやっと気づいて、割と長いこと後悔していました。

暴力事件の被害に遭った生徒とその家族にしっかりとした謝罪と補償がされるのは大前提として、どうか「すべての生徒が」まともなケアと指導が受けられますように。

ニュースを見て、こうなればいいな、ああなればいいなという無責任な理想はたくさん考えつくのですが、現実としては何もできません。
何もできなさすぎるのでこの文章を書きました。
という日記でした。