おうちのひみつ

 会いに行く、と短い手紙が来たのは夏の始まり頃。
 懐かしい文字が、差出人不明の手紙として渡された紙の上に見えて、途端に涙が止まらなくなった。
 たわいもないダイレクトメールに紛れさせる巧妙なやり方で、手紙や電話に全部 ...

おうちのひみつ

「おい、起きろ」
 頭をひっぱたかれて目が覚めた。
「痛ぇ……なに……」
 叩かれた後頭部をさすりさすり、うつぶせになっていた体を少しだけベッドから起こす。見上げると、怖い顔がこっちを見下ろしていた。