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小説ウィングス秋号本日発売です【読み切り掲載】

Twitterでも少し触れましたが、今回の作品は、多分ちょっと前の自分だったらやらなかっただろうなあというような手法で書いています。
今まで何を避けていたかといえば、「状況によってフォントを変える」という部分なんですが。
小説を書く上で、フォントを変えることで作品の雰囲気を変える…というのがどうも反則なような気がして避けていたんですが(♡を使ったり、「「(複数人の台詞であるという記号としてのカギ括弧」」を使ったり、叫んでいるという表現でフォントを大きくしたりとかも、自分ではやらないようにしています)、今回は手紙部分と小説部分が混在しているため、混乱を避けたい・変えた方がしっくりくるだろうなと思ったので、あまり抵抗なく変えてしまいました。
自分の変なこだわりだったので、変えたところで何がどうってこともないんですが。
変えて平気だった自分記念にメモしておく。
相変わらず自分の中での禁じ手ではあるので、そう滅多にやるものじゃないかなとは今もなお思ってます。

手紙形式にしたのは、そもそもは知見視点で話を書くのがちょっと厳しいなあと思ったからです。
書いてるわたしがとてもしんどくなるのは目に見えてるし、読み手もしんどくなるだろうし、でも知見と莉菜の話は書きたいし、なのにこのふたりは離れて暮らしてしまっているし、どうやったら知見と莉菜と、わたしとキャラクターの、読者さんとお話の距離を近づけられるかな、と考えた結果でこうなりました。
こうしたらどうだろう、と実験的にお話を組み立ててみたんですが、思いがけず知見と莉菜の関係について書くのにぴったりな感じで、こ、これを思いついてよかった…私の脳がたまには偉い。
フォントもそうだけど、お話の組み立て方自体、いままでの自分だったら避けそうなところを割とするっと楽しく進めたので、とても気持ちよかったです。

知見がどんな子か、なぜそうなのか、ということについては、そこが本筋ではありませんし小説でもはっきりとは書かずにおいたので、それぞれ読んだ方が受け止めてくださると嬉しいなと思います。

普段「何を考えてどう書いたか」というのをあまり言わないようにしてるんですが、今回は自分でも少し思うところがあったので書いてみた。蛇足すぎる気がするのでそのうちシュッと記事を消すかもしれませんが。

本当に今回はいつにも増してとても楽しくて、お話を書くのはいろんなやり方があって,楽しいなあ、とあらためて思いました。
自由にやらせてくださった小説ウィングスさんにはとても感謝しています。

それはそれとして、「この人視点寄りの三人称は難しいだろうし、一人称でなど絶対書けないな」と思ったのは、知見とはまったく違う方向性で天野友也です。昔も何かで言った気がするな。多分文字で思考してないので文字で書けない。なぜなら何も考えてないから。

さらにこの先は、掲載作には直接関係ない、ちょっとした裏話みたいなものです。
ネタばれとかいうわけでもないけど私の過去作に興味のある方向けな感じです。