「TANZ DER VAMPIRE ダンス オブ ヴァンパイア」

初演から13年ぶりに観に行きました。

初演の時、話はスッキリしなかった気がして、以来観に行ってなかったんですが、同行者が「東啓介が観たい」というのでくっついていった。

初演の感想はこんな感じ。『内容的にはどうでもいい』とか13年前の私は大変失礼ですね!?

しかし実際ストーリーの流れ自体はごく単純なものなので、複雑な伏線を楽しんだり、人物の繊細な感情の揺れを楽しむ類のものではなく、かといって雑な仕上がりでは決してあらず、スピーディながらも登場人物の豊かな感情の広がりや動き方、些細な台詞に含まれたその向こうの世界、何よりダンスや歌の力、それらが作り出して劇場に拡がる夢のような非現実感を楽しむことのできる、本当に素敵な舞台なんです。

13年前の私にはそのへんいまいち読み取れなかったというか、どうもキャラ解釈がしっくりこなくて、たとえば『エリザベート』とかのようにアホみたいに嵌まり込むことがなかったんですが。

いやあ今回は、すごかった、すごかったよ…!

主役級の人たちは言うまでもなくですが、アンサンブルの素晴らしさがすさまじい舞台でいた。
カロリーが高すぎる。アンサンブルの一体感もすごかったんですが、個々の煌めきがとんでもなくて、それが合わさるものだから手に負えなかった。
アンサンブルのシーンは終始鳥肌がとまらずブルブルしていた、何をみせられたんだ私は…そしてさけもとあきらはどこにいても目立つな…。

主役級の人たちは本当にもうどう言葉を尽くそうとしても尽くしきれないから少ない語彙を呪いながら譫言のように感想を呟くことしかできないんだけど、山口祐一郎は相変わらずの全身楽器ぶりで劇場を支配し、石川禅のプロフェッサーは変人でキュートで屈折感のほの見える難物、東啓介のアルフレートはアホかわいく…かわいく…本当にアホっぽいのに最後の最後であの…この辺は野暮な感想など観ずに直接触れてほしいので書きませんが、とにかくすごく、すごく、よくて、あともう神田沙也加。神田沙也加の無垢で無知な少女から艶やかな女性に変化していく様がすばらしくて、歌声は清らかで、これももう終始震えっぱなしでした…。

東啓介は、刀剣乱舞の舞台で突如始まった謎のミュージカルの時から、「な、なんやこいつ…」とその卓抜した歌唱力を訝っていたんですが、主役としての歌を聴いてみると、もうさらに、「なんやこいつ…」という感じでしたね、なんやこいつ…多分山口祐一郎と同じ棚にいる人だ…。

今でもう充分ステージ上での活躍をしているようですが、どうぞミュージカル界は東啓介を大事に、大事に、育て上げてください二〇年後が楽しみでならぬ…。今も充分素敵なスターだと思うんですが、そのうえさらに計り知れない伸び代を感じて、どこまで到達するのか見届けたくてうずうずする。

私にとってミュージカルスターは山口祐一郎が到達点にあって、まだまだ祐さんの舞台をたくさん観る楽しみを持ちつつも、「次の世代にこういうおかしなスペックの役者が出てくるんだろうか…」と不安になったりもする。もちろん井上芳雄がいて、山崎育三郎がいるんだけど、気づけば彼らもベテラン枠だし、そもそも(私の中では、という意味で)立ち位置が違うので、山口祐一郎の歌を聴いた時の異様な多幸感と異次元感を味わうことが、あと数十年のうちにはなくなってしまうのだと思うと、おそろしくなる。
なので東啓介がそこに行ってくれないかなあと、勝手な期待感を抱いているのでした。
念のため、歌や演技の巧拙ではなく、ものすごく単純に自分の「歌の聞こえ方」の好みの話をしています。耳と全身で歌を聴いた時に与えられる感触の種類の話です。うまく説明できねぇ。好みというか、好き嫌いでいえば井上さんも山崎さんも禅さんも鈴木壮麻さんも大好きで一生聞き続けたい。
ちなみに花總まり様も同じ枠にいるのだと、前回のエリザベートで気づいて震えた。新妻聖子さんもそこに向かっている気がして楽しみしかない。

話が逸れたよ。
禅さんは、やっぱりどうしてもMAのルイ16世が私にとっては至高なんですが(好きすぎて…)、プロフェッサーもよかったなあ。手に負えない頑迷さを持ちながらも、ひねくれたところと純粋さが同居してキュートと表現する以外ないくらいキュートだった。

で、神田沙也加です…神田沙也加…これまでも好きだったんですが、今回でますます好きになったというか沼に落ちたような気分で愛してしまったようじゃ…。
東啓介との歌声がものすごく綺麗に絡んで、ずっとずっと耳が幸せでした。伯爵との掛け合いもすごくよかった。語彙がねえな。

初演の時のサラは無知だから美しく怖ろしいものに流され、自分の若さや美しさを無邪気に傲っていた風情で、そこが危うくて綺麗だったんですが、神田サラはもっと力強くはっきりと自分の意思を持っていて、何なら伯爵さえも利用してやろうという野心みたいなものが垣間見えていて、こういう解釈もまた、よ、よかった…!

赤いブーツがことのほか似合っていた。赤が似合うな神田沙也加は…。

カテコの時の衣装を観て、そういえばこの人は江ノ島盾子様をお演りになったのだということを思い出して、ああああ観ておけばよかったよと心の底から悔やんだのだった。

これからはもう神田沙也加様とお呼び申し上げるしかない。好き…。

神田沙也加様のせいで、クラクラしながら帰路に着きました。バスチーユの恋人たちも、神田沙也加様の回も観ていたらよかったよ。これからは気になる舞台に神田沙也加様がいたら観るようにしよう。

女の子が男子にマウント取る舞台を立て続けに見たな。

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Posted by eleki