割と怖い夢な気がする

視点は、小学生くらいの女の子でした。
わたしは転校生で、クラスのみんなと馴染めず、割合ハブられていたりもしたが、必死にみんなと仲よくしようとしてました。
修学旅行で、古いお寺みたいな、公民館みたいな、ずいぶん汚い木造の建物にみんなで泊まることになった。

その宿は、どうも幽霊が出るらしい。

ということで、クラスの子たちは「幽霊退治をしよう!」と盛り上がり、掃除がてら宿のあちこちを箒持ったまま探険してます。
わたしは幽霊なんてとても嫌いなので、やだなあ、怖いなあ、とずっと思っていた。

幽霊は本当にいました。女の子の、自分たちと同じくらいの年齢の幽霊です。
クラスの子が、あれは「○○だ(名前忘れた)」と騒然としはじめました。
彼女は、どうもわたしが転校する前にクラスにいた少女で、クラスメイトたちがいじめていじめて、いじめ抜いた結果、去年の修学旅行(毎年あるんか)で死なせてしまったらしいのです。

騒がしくなる児童の前に、安倍晴明と式神たちが大勢現れました。
晴明は、ここにいる幽霊はとてもたちがよくない、このままでは彼女をいじめたおまえたちクラスメイト全員が殺されてしまう。おまえたちはいじめをする人間のくずなので、正直死んでしまってわたしは全然構わないが、怨みを持ったままの彼女が哀れなので除霊をする、と言いました。

呼ばれて板張りの広い部屋に赴くと、すでにクラスメイト全員、それから担任の先生や付き添いの保健室の先生など、大人数人が正座をしていました。彼ら教師たちも、いじめに参加して、死んでしまった少女をさんざん虫のように扱っていたことを、わたしはなぜか知っています。
全員項垂れて黙り込んでおり、晴明はその前に仁王立ちになっている。わたしはその雰囲気に飲まれながら、児童たちのすみっこにちょこんと自分も正座をしました。

「決して目を開けてはいけないし、喋ってもいけない」

晴明は正座をした人たちの目に白いガムテープを貼りました。
わたしも目を閉じ、ガムテープを貼られ、すごく怖くて怖くて、震えながら小さくなっていました。
晴明がお祓いのようなものを始めた瞬間、児童の列の最後に座っていた、わたしを含む三人の体に、電話のコードが勢いよく巻き付きました。
コードは体中に生き物のように巻き付き、わたしの体は宙に浮かび上がりました。悲鳴を上げそうになるのを、どうにか堪えます。
(絶対に喋っちゃいけない)
そう何度も自分に言い聞かせていると、不意に右の耳許に生暖かい風が当たりました。
「あなたは、自分はいじめてないのになぜこんなところにいなくちゃいけないと思っているでしょう」
保健の先生の声です。わたしは質問の内容より、「喋ってはダメなのに」ということが気になって、心臓が跳ね上がりました。
「自分のこともいじめたクラスの奴らなんて、このまま死ねばいいと思っているでしょう」
先生がそんなことを、何度も訊ねます。
わたしは、先生がまやかしであることに気づき、「反応したら殺される」と思って、必死に聞こえないふりをしました。
「先生もみんなも、本当は死んで欲しいと思ってるでしょう」
ゆっくりと間延びした声で、先生が言い、わたしはただ黙って震えていました。
「でも大丈夫、みんなもう死んでるから」
そう言われて、さらに全身が鳥肌だちました。
周りからは、肉の潰れる重くて汁っぽい音、水音が響きだしています。空気は何となく生臭く、湿気がいっぱいに立ちこめているのがわかりました。
「もう終わったから目を開けていいんだよ」
言われて、わたしは必死に首を横に振りました。
本当は誰も死んでいない、ここで騙されて目を開けたら全部終わるんだ、みんな死んでしまうんだ、と思って、きつく目を瞑っていました。
「みんな死んで嬉しくないの?」
嬉しくない、と思いました。いじめられていたのに、わたしは割合、クラスメイトたちのことが好きだったんです。
重い肉が潰れてはぜる音が響いていました。
何度も囁かれる保健の先生の優しい声に、わたしはずっと、死にものぐるいで首を横に振っていました。

という夢を見たわたしはもしかして疲れているのかもしれないよ。
初夢もろくなもんじゃなかった。
何で安倍晴明かっつーと、昨日お伽草子の最終回を見たからだと思います。
あのアニメは、制作側に制作の意図を聞いてみたくて仕方ありません。あと、あれが好きだという人に、どの辺が気に入ったのかということを…。
どうなの。

夢日記

Posted by eleki